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Dee Pre Story - Title

 

 
出会い -MOVUE-
 
Movue「ディー、ディー!ちょっと来なさい」
 孤児院の逞しい賄い婦が、気の弱そうな小さな子を、大きな手で傍らに寄せている。薄紫色の綺麗な髪をしている、耳の長いそのハーフエルフは、顔を半分、賄い婦の太股に埋めていた。
 ディーは、顔に少しだけ幼さの残る青年だった。ぼろの服からのぞく筋肉が、日々の荒さを表している。
「なんだよ」
 賄い婦に駆け寄り、突っ立った青と赤の髪をがしがしと掻きながら、ディーは無愛想に答えた。
「今日から孤児院に来た子よ。ヌビアール教の司教様に託されたの。お前が面倒を見なさい。泣かせたら承知しないよ」
 泣かせたら・・・・という言葉を強く言うと、沢山の洗濯物を片づける為に、賄い婦は孤児院の裏手に消えた。
 ディーは、残されたハーフエルフをぐいっと睨んだ。
「お前、名前はなんて言うんだ?」
「・・・・・・・・」
「ああ!?聞こえねえよ。もっとはっきり喋れ!」
「・・・・モーブ・・・・!」
 モーブは腹の底から絞り出すように答えた。
「ようしっ。モーブ、おめえは男だな」
「え?う、うん・・・・」
「ならついてこい。これから一仕事だ」
「シゴト?」
 モーブが不安そうに呟くと、ディーはモーブの耳に、いたずらっぽく小声でささやいた。
「町外れに来ている商人の、荷を襲うんだ」
「えっ!で、でも・・・・」
 襲う。あまりの事に、モーブは思わず声を上げた。
「シー!ばか。でっけえ声を出すな。こうでもしなくちゃ、俺達は飢え死になんだ。お前、ちっちゃくて身軽そうだから、どこにでも入り込めるだろ」
「でも・・・・」
うつむくモーブ。ディーは続けて言った。
「商人ってのは悪党さ。貧乏人の足下みやがって。平気さ。このご時世、とがめる奴なんかいねえよ」
「でも、神様が見てるよ!」
 やにわに顔を上げて、モーブはそう言った。それは意外なほど、はっきりとした口調だった。ディーは少し面食らったものの、やがて皮肉まじりに笑った。
「へっ!・・・・弱い奴等に冷たい神様なんか、知らねえよ」
「早く来いよ、モーブ。今夜はお前の歓迎パーティーだ!」
「あっ、ま、まって・・・・!」
 強く晴れた空の下、すたすたと歩き出したディーの背中を、モーブが小走りに追っていった。

 大きな戦争が終わって数年後。アスラット文化圏の辺境に位置するこの街では、多くの戦災孤児の救済に、頭を悩ませていた。孤児たちは日々飢えていたが、それは家族を持つ者もまた、同じだったのである。

 





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