ふぁるコラム
空の軌跡開発者インタビュー

3/24 開発者インタビュー:その4
3/22 開発者インタビュー:その3
3/16 開発者インタビュー:その2
3/9 開発者インタビュー:その1

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2006/3/24

『空の軌跡』開発者インタビュー:その4

スタッフコラム番外編『空の軌跡』開発スタッフインタビュー第4回!今回で最終回となります。

今日お話をお伺いするのは、サウンドチームJDKのS氏!

いたずら
机拝見。サウンドチームのブースは一番機材が多いです。

ファルコムのゲームミュージックといえばサウンドチームJDK!ファルコムの昔のCDにはJDKの対談などが載っていて開発秘話などをうかがい知ることが出来ましたが、最近のCDにはライナーが少ないので、気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回このスタッフコラムの場を使って『空の軌跡』の楽曲について存分に語っていただきました!



■とりあえず自己紹介をしてください。
こんにちは、サウンドチームjdkのSです。
BGMの作曲、イベント系SE(効果音)の作成の他に、それらの素材をどのシーンでどう鳴らすかという、演出面の作業も担当しました。

■『空の軌跡』の楽曲を作るとき、それまでの英伝やイースといった他のタイトルとの違いを意識しましたか?『空の軌跡』ならではのコンセプトやメインテーマみたいなものがありましたら教えてください。

FCのサントラのライナーにも書いてあるのですが、まず「英雄伝説でありながらガガーブではないもの」という大枠の中で、新しい要素として何が提示できるだろうか、というところから空の軌跡の音楽作りはスタートしました。

ファルコム節ともいうべき熱さ、ガガーブシリーズの持つ甘く切ない響きは下地として引き継ぎつつ、さてどうしようかと苦悩する日々が続いたのですが、空の軌跡の持つオシャレで都会的な世界観に触発され、ジャズっぽい曲調を取り入れてみたらどうだろうかという事になり、それが通常戦闘やダンジョンの曲に活かされる事になったわけです。


ロレントの街です。(デバックモードでカメラをいじってみました。3Dになるとこんな風にマップを拡大縮小できるのが便利です。)
田舎田舎と言われるロレントでさえ、ガガーブ世界の街と比べると都会的に見えたんですよ。(笑)
あの3Dのマップはかなり新鮮に映りましたね。

『空の軌跡』の楽曲を作るとき、それまでの英伝やイースといった他のタイトルとの違いを意識しましたか?『空の軌跡』ならではのコンセプトやメインテーマみたいなものがありましたら教えてください。


割とポピュラーな手法ではあるのですが、ある要素を表すテーマフレーズを作り、それに関連するシーンで流れる曲にはそのフレーズをなるべく取り入れるようにしました(名づけて「太陽にほ○ろ方式」)。
そうする事によって楽曲群に統一感が出るんです。音楽でストーリーの伏線を表現する事も出来ますし。

地味なところでは【組曲 白き花のマドリガル】【コロシアム】のフレーズが【グランアリーナ】の中で使われていたり、【王城】のフレーズがリベール王国のテーマとして【国境警備も楽じゃない】【リベールの誇り】といった曲の中に入っていたりします。

【空の軌跡】《輝く環》オーリオールや女神エイドス関連のテーマになっています。さらに、曲タイトルの通りゲームとしての空の軌跡を象徴する曲にもなっていますね。FCはもちろんSCでも様々な場面で使われています。け、決して手抜きというわけでは・・・

【星の在り処】エステルとヨシュア2人のテーマです。ヨシュアがエステルに自分の過去を打ち明けるシーンの曲として作ったピアノ曲【告白】が原曲になります。そこからハーモニカのソロや、主題歌としての【星の在り処】が派生的に誕生していきました。
そしてSCでは主題歌になってしまった(笑)【銀の意志】は、ロランス少尉のテーマですね。
シナリオ上重要なキャラであるロランス少尉を印象づけるため、専用の戦闘曲として作られました。

アガットとのイベントシーンなどでも使われていますね。

SC特典フォトストーリーブックより、ロランスとヨシュア。

ただの戦闘曲としてだけではなくロランス少尉の正体やその背後にある結社がらみの要素も含み持たせた、SCへの橋渡し的な存在の曲になるといいなぁという思いがありました。

結果的には結社関係のテーマはSCからの新曲が受け持つ事になり、【銀の意志】はロランス少尉とその周辺の人々、出来事を表すテーマへと変貌を遂げていきました。
【呪縛からの開放、そして・・・】の中にも【銀の意志】のフレーズが入ってるんですが、これもSCへの仕込みネタのひとつですね。

そうそう、【呪縛からの開放、そして・・・】は教授のテーマでもあるんですよ。
ドからシまで半音を含めた12個の音程を重複することなく全て使ったフレーズが入っているんですが、これがSCの曲の中でも度々出てきます。

■『空の軌跡』では、ファルコム初の主題歌となる「星の在り処」が登場しました。それ以降のファルコムのタイトルに「歌もの」の曲が多く登場するようになりましたが、「歌」つきの曲を作るときにこだわっている点や苦労話などを教えてください。


実は最初から歌を作ろうと思って作られた曲はほとんど無いんです。
インストとか歌とか関係なく、まず曲として「いいね〜」と言わせられるものを作る事が最も大切ですから。なので、時には歌い手さんの音域にあわせてメロディラインを修正しなくちゃいけなくなる事もあったりします。

あの衝撃的なFCのラストですが、生半可な演出では「続くのかよっ!?」というツッコミの方が先行してあまりいい印象を持たれないのでは、という懸念があったんです。
そこで思いっきり感動的に盛り上げて有無を言わさず後編であるSCへのモチベーションを高めてしまえ、という事になり、主題歌に挑戦する事になりました。

アレンジャーの方とラフを何度もやりとりして相互の意見をフィードバックさせ、最終的に完成したのが【星の在り処】です。自分にとってもメモリアルな曲になりましたね。
歌詞もめちゃくちゃハマって、いい曲ができたと思っています。

■『空の軌跡』『空の軌跡SC』で、特に気に入っている曲はありますか?またその理由なども聞かせてください。

【星の在り処】【空の軌跡】はもちろん気に入っているのですが、個人的な思い入れで言うと【国境警備も楽じゃない】になりますかね。
さきほども言いましたが、リベールのテーマフレーズを取り入れつつ、少ない音数でシンプルに関所の雰囲気を出すことが出来たかなと思っています。

シンプルという点では【陽だまりにて和む猫】も気に入っています。
曲を作っているとついつい色々と音を足したくなってしまうんですが、そこをぐっとこらえて少ない音数でまとめるのって結構勇気が要るんですよ。

SCから選ぶとすると、王国軍が奮闘するシーンやアルセイユに乗り込んでいる時に流れる曲が好きですね。燃えます。

■『空の軌跡FC』『空の軌跡SC』開発中のエピソードで何か面白かったことはありますか?

面白いというのとは少し違うのですが、SCのイベント演出についてメインシナリオ担当のT君と序章から終章まで、途中5分のトイレ休憩を挟んだだけで5時間ぶっ通しで打ち合わせをしたのは今では良い思い出ですねぇ。凄くテンションが高くなっていて、時間が過ぎるのも忘れてしまうくらいでした。


ファルコム開発フロアにあるリフレッシュルーム。ここでよく打ち合わせが行われています。もなニュースのもな君はここからニュースをお伝えしています。

あと、SCには印象的なボスキャラが沢山いるんですが、その中で唯一敢えて通常戦闘の曲を流している奴がいるんです。ゲームの中でそいつと遭遇したら、たっぷりと可愛がってあげてください。(笑)

■好きなキャラクターは?その理由なども聞かせてください。

ナイアル&ドロシーのコンビがいい味出していて好きですね。ドラマCDで声が付いて、さらに良くなったと思います。FCの護衛のクエストでドロシーがいきなり戦闘中に写真を撮りだした時はコーヒーを噴き出しそうになりましたよ(僕は決して鼻からは出してませんっ!笑)。

ナイアルの「このままペンが剣に負けるのを見過ごすわけにはいかねえんだよ!」というセリフもぐっとくるものがありました。御飯も奢ってくれるしね!

■ゲーム中のエピソードやシーンで気に入っているシーンはありますか?

学園祭での劇のシーンでしょうか。
決闘シーンのキャラのアクションは一見の価値有りですね。

音楽の方はと言うと、マドリガルは劇中劇という事でどういう風に曲をつけるか少し悩みました。プリントアウトしたシナリオを読み込んで「ここからここまではこの曲」といった感じで自分で場面の区切りをつけて必要な曲を割り出し、曲を書いていきました。

最初は普通にオーケストラでまとめようかとも考えたのですが、学生たちの手作りの劇で
オーケストラというのもちょっと大げさ過ぎるかなと思い、あの講堂の中で手軽に音楽を奏でる方法として手回しオルガンを使う事を思いつきました。ヨーロッパの街頭などでピポピポ鳴っているアレです。紙で出来たディスクを交換することで別の曲を演奏することも可能なので、1台で何曲も演奏する事が出来ます。きっと舞台の袖では演出担当のハンス君が一生懸命ハンドルを回していたに違いありません。(笑)

あー、でもカペルやら感光クオーツにオーバルカメラやらがあるくらいですから、音を記録するクオーツにそれを再生するオーブメントなんかもありそうですよね。ちょっとT君に聞いてみよう・・・(聞いてきた)・・・やっぱりあるみたいです。

オーケストラ版の【組曲 白き花のマドリガル】はSAVで実現する事になりましたが、とても気に入っています。


『空の軌跡』初回特典としてついたスーパーアレンジバージョンのCDです。オーケストラ調の曲やボーカル曲などバリエーションも豊富で、特典としては非常に充実した内容でした。



■『空の軌跡SC』の見所(聞きどころ?)などをアピールしてください。

【空の軌跡】【銀の意志】
ばかりがクローズアップされがちですが、SCからの完全新曲にも是非耳を澄ましてみて欲しいですね。
またFCでは戦闘曲のバリエーションが少なかったという反省があったので、SCでは頑張って大幅に増やしました。かなり充実したものになったと思います。戦闘ボイスも入って賑やかになりましたしね。

ただ、戦闘曲にも「太陽にほ○ろ方式」が適用されていて(笑)、テーマ曲のフレーズが挟みこまれていたりするので、新曲じゃないように思われている方もいらっしゃるみたいで、ちょっと悲しいです。

■今後、ファルコムサウンドチームjdkとして挑戦していきたいことなどはありますか?

1曲でも多く心に残る曲を書いていくというのが第一ですが、生演奏を用いたものとかにもどんどんチャレンジしていきたいですね。
歌、バンド、フルオーケストラとか・・・夢は広がります。

■ユーザーの方々に何かメッセージはありますか?

時にはゲームをする手を休めて、BGMをじっくり聴いてみるのもいいものですよ。



お忙しい中、コラムに登場してくださってどうもありがとうございました!
スタッフコラム番外編『空の軌跡』開発者インタビュー全4回。いかがでしたでしょうか?
今後も機会があればこうした企画を立ち上げていきたいと思っています!

次回からは通常のコラムに戻る予定です。


 『空の軌跡』開発者インタビュー(サウンドチームJDK:S氏編)

2006/3/22

『空の軌跡』開発者インタビュー:その3

スタッフコラム番外編『空の軌跡』開発スタッフインタビュー第3回!

今日は、グラフィックデザイナーのI氏!ヒツジンやササパンダーなど、『空の軌跡』に登場する、ちょっぴりヘンなモンスターの誕生秘話などコネタ満載のコラムです!

いたずら
こんなコネタをもらいました!



■とりあえず自己紹介をしてください。
はじめまして。Iといいます。
SCは戦闘に関する色々なところを触らせてもらいました。魔獣グラフィックも結構やったんですけど、今回は魔獣や装備品の設定など、バランス面の調整が一番大きな仕事でした。ある意味プレイヤーを苦しめた張本人かも知れません。

魔獣関係の話が主になると思いますけど、今日はよろしくお願いします。

■英伝シリーズは『空の軌跡』から3D化されましたが、実際に3Dのグラフィックデータを作成するグラフィックデザイナーさんから見て、3Dになって良かった点・難しくなった点、などがありましたら教えてください。

データを3Dツールで作成するようになって良くなったことは、アニメーションが格段に楽になったこと位でしょうか。それ以外は、これまでとあまり変わりませんね。
様々な調整が入ってくると、結局作業時間は同じくらいなので。

あ、でも表現の幅が広がったことはすごくうれしいです。
凝った動きなんかも簡単に作れますし。

魔獣担当としては良いこと尽くめでした。


メインキャラの担当者などはかなりこだわってて、すごい細部までモデルやアニメを作りこんだりしてましたね。
でも作りこみが激しすぎて、レンダリングしたら細部が全部つぶれちゃったり、動きが微妙すぎて、アニメーションになってなかったなんて事もあったとかなかったとか。

開発期間の後期はかなり大人になったらしいです。(笑)



机拝見。
■『空の軌跡』に関する仕事で特にこだわったところはどこですか?
とにかく楽しい戦闘を、です。
見た目はもちろんですけど、今回はバランス面にもかなりこだわりました。

今回は戦闘バランスをキツめにとったんです。
特に各ボス戦、あまつさえザコにも全滅を喫した人もいると風のうわさに聞いた時はうれしかったな〜。(歪)

本当はもっともっと凶悪にしたかったんです。なぜならその方が、勝つために一生懸命考えるから、その方が絶対楽しいと思うからです。

でもちょっぴり自主規制しました。
あまりやりすぎてもつらいだけだし、何より英伝は次のお話を早く見たいゲームなので。
でも今回はシナリオが結構なボリュームだし、そんな長丁場を戦闘がつまらなかったらいかんよな〜と思い、キャラの育て甲斐を出せると思われるレベルに近づけたかったんです。
デバッグ中にいじめられるといやだから、とかそういった理由ではありません。
・・・ホントですってば。

ちなみに最終バランスは、始めに予定していたものの3割引きくらいになりました。

SCになって、各キャラクターの性能がより顕著に戦闘に反映されるようになりました。適当に装備をつけていると、意外に使いづらいキャラが出来上がります。うれしい。(歪)

逆に言うとちゃんとメンテナンスすれば、どのキャラも使えるようになるんですよ。
ATS重視型クローゼとか作って遊んだり、防御力のみにこだわったティータなどでかましてました。
オーブメント盤フリーが逆に仇になって、中途半端な能力のエステルとかが世の中にあふれるかと思い、ついいけない笑みをこぼしてしまったのはちょっと不覚でしたが。

装備品もちょっぴり(?)癖のある物を用意しました。

こだわりをもってキャラをメンテナンスして欲しいですね。


■『空の軌跡FC』『空の軌跡SC』にはたくさんの個性的なモンスターが登場しますよね。ああいったモンスターのアクションや設定などはグラフィックの方が考えるのでしょうか。

魔獣はデザイン・アニメ共に基本的にグラフィックデザイナーが考案します。
シナリオ絡みでないものは名前も付けます。
更に図にのって説明文も書いちゃったりします。

デザインに関しては、今までの英伝がそうだったように、基本的に実在する動物をモチーフにしてます。ルールがあったとすれば、どこかしらに愛嬌を残すというくらいでしょうか。

カッチョイイだけじゃなくて、どこかちょっとズレている
・・・そんな味を残そうと決めていました。

開発途中のデバックモードでいけるモンスター部屋。一通りのモンスターがそろって、それぞれのアクションをしながらずらりと並んでいます。
悪魔的なものとかグチョネチャ系も出したかったんですけど、あまりに冒険が過ぎるということでそういった系統は見送りました。
それと今回はメカ物も入ってきたので、こちらは世界観との整合性をとるのが意外と大変でしたね。


〜ヘンで楽しい魔獣の説明文〜

魔獣の説明文は始めに言ったとおり、グラフィック担当者本人が書いていることが多いです。始めは「戦闘時に役立つものを」が合言葉だったはずなんですけど、様々な家庭の事情により、今の形になりました。
本当はどれもこれもぶっ飛んだ説明文にしたかったけど、作業の優先順位が低かったんです。それでその野望は泣く泣くあきらめました。


SCからヒツジンに新しい仲間登場!その名も「モモイロヒツジン」!非常に毒々しい桃色をしたヒツジンです!名前が分からない時は余りに不健康な色をしているので「ひつじんゾンビ」と呼んでいました。

〜ヒツジンについて〜

え〜と、それから・・・ヒツジンですか。
あれは何というか自分が一番初めに作った奴で、英伝6のストーリーも知らない状態で適当に「英伝だったらこんな感じかな」と何も考えずに作りました。

まさかあんな変なキャラクター性がまとわり付くことになろうとは予想だにしませんでしたね。


しかも作るのに全然時間がかかってない。データ作りの理想形といえるでしょう。(笑)

SCの作業に入ってからも、「FCの魔獣は基本的に追加・変更しない」ってことになってたのにある人が近づいてきて嬉しそうに言うんです。

「旋風脚も入れたっす」って。

・・・なぜ。しかも「も」ってどゆこと?
まあ、いじりやすいキャラだったんでしょう。

〜ササパンダー〜

ササパンダーもひと悶着ありましたねぇ。これまた自分が勝手に作った魔獣です。(汗)
最初は今までの英伝シリーズから何匹かチョイスして、SCに出してやろうと画策してたんですね。

で、ためしに作ったのがよりによってササパンダー


左が『白き魔女』に出てくるササパンダー?右が『空の軌跡』のササパンダー。『空の軌跡』のほうは「パンダ度」UP!

でもその辺りから別の仕事が入ってきたりして、思うように旧シリーズ魔獣入植計画が進まない。

しかもある日の会議で「あれはどうよ」って話まで出て、一瞬葬り去られそうになる始末。これは何かしらマルッとした力が働いていると判断し、このささやかな企みから手を引く事にしたわけです。

そんな訳でササパンダーは稀少魔獣としてひっそりと獲物を狙っているのです。
出現頻度が低く、凶悪な攻撃力を持ち、その上逃走しますが、どうぞその雄姿を一目見てあげてください。

まあ、そんなノリで愛すべき魔獣達が続々と生まれ、リベールになだれ込んで行ったわけです。


■『空の軌跡FC』『空の軌跡SC』開発中のエピソードで何か面白かったことはありますか?

う〜ん、そうですねぇ・・・当然の事ながら、みんなまじめに作ってますから、取り立てて面白い話は無いんですが。じゃあちょっとだけ。

ある魔獣が範囲ダメージの技を持っていたんですけど、その技がバグっててダメージ判定が「巻き込まれた人数分繰り返される」というものがありました。

つまり4人いっぺんに巻き込まれると、規定の4倍のダメージが入ってしまうと。
セピスボーナス時にこの技をもらった日には、しばらくの間意識不明になると。
そんな多くの励ましのお便りを受けました。
「いいんじゃない?自分は魔獣の味方だし、このまま。」
とは言えずに直してました。もちろん自分です。

ほら、あんまり面白くないでしょ。


■好きなキャラクターは?その理由なども聞かせてください。

魔獣は全部かわいいです。親バカです。
強いてあげればフォーチュンコインとかケモシとかでしようか・・・。
あ、あとヴォーグルもいいですねぇ。特にゴルゴンレーザーを撃つ奴が。(笑)
何かちっちゃい奴ばっかですね。


左がフォーチュンコイン。左がヴォーグル。ケモシはデバックモードのモンスタ部屋にいなかった…。
人間キャラだとキリカにフィリップ、それとジミー。
実際には描かれない部分まで想像させてくれるキャラが好きです。


■ゲーム中のエピソードやシーンで気に入っているシーンはありますか?

一番のお気に入りは某章温泉クエスト(『空の軌跡SC』)です。
ヒツジンが一匹だけお湯に落ちるところが、つぼに入ってしまいました。
「おお、やはり来たか温泉イベント」などと暗く喜んでいたら、ヒツジンに全部もって行かれた感じです。
不覚にも飲み物をスプラッシュしそうになり、口を押さえたら鼻から出たほどです。


■『空の軌跡SC』の見所などをアピールしてください。

思いや主張は魔獣達に乗せてゲームに内包したつもりです。

普通にプレイしていると、あまり気にも留められない雑魚と呼ばれる者達も彼らなりに一生懸命何かを訴えようと、ユーザーに熱い視線を送っています。

創造主たちの偏った愛がたっぷりと注入された彼らをを存分にひねりつぶし・・・もとい、撫でてやってください。


■ユーザーの方々に何かメッセージはありますか?

長いゲームですので、ゆっくり遊んでやってください。




文章全般から、「何かしらポムっとした存在」という文章のノリと同じものを感じました!お忙しい中、コラムに登場してくださってどうもありがとうございました!

『空の軌跡』開発者インタビュー。最終回となる第4回はサウンドチームJDKが登場!お楽しみに!


 『空の軌跡』開発者インタビュー(グラフィックデザイナーI氏編)

2006/3/16

『空の軌跡』開発者インタビュー:その2

スタッフコラム番外編として行っている『空の軌跡』開発スタッフインタビュー!
第2回目は、プランナーのK氏!

前回のインタビューはこちら


【空の軌跡の歩み】2002年夏に発売されたイースI完全版・イースII完全版に同梱されたチラシ。これ以降、商品に同梱されるA4チラシに『空の軌跡』のメインキャラが登場し始めます。

K氏はシナリオスタッフとして、英伝の醍醐味ともいえる、イベントごとに変わる膨大な一般メッセージを作成する一方、開発の進行管理や、開発チームとデザインチームの橋渡しをするなど、プロジェクトの司令塔的役割を担っています。『空の軌跡』ばかりでなく、社内タイトルすべての進行管理し、新プロジェクトを立ち上げたりして多忙な中、インタビューをお願いしても良いものかどうか非常に悩みましたが、快く承知してくださいました!ありがとうございます!



デザインチーム1綺麗に整理された机。
■とりあえず自己紹介をしてください。
どうも、空の軌跡ではシナリオの一部や背景設定、色々なサポートを担当したKです。
実はたまちゃんやてんさんの入社前にファルコムのホームページを作成していたこともあります。
話下手なのでインタビューなんて苦手なんですが、かわいい後輩たちから頼まれてしまったので頑張って話してみたいと思います。よろしくお願いします。

■『空の軌跡』を作るに当たって、以前の「英伝シリーズ」を意識しましたか?

自分は「白き魔女」がきっかけになってファルコムに入社した人間なので、そりゃあもう意識しまくりですよ。プレッシャーもハンパじゃありませんでした(苦笑) ただ関わった「海の檻歌」でガガーブトリロジーはすでに物語として完結を迎えていました。

スタッフにもそろそろ次へ進むタイミングだろうという雰囲気がありましたね。
ただガガーブはみんな好きだし、何とかしたい。
そこで考えたのは、明るく爽快ながらも大きなテーマ性を掲げるガガーブトリロジーのエッセンス…これを抽出しながらも、明らかにこれまでと違う要素をファルコムらしくフィーチャーするということでした。

■以前の「英伝シリーズ」にはない部分、新しく挑戦した部分などを教えてください。

新しく挑戦…何でしょうね?(笑)
そうそう、企画が始まった頃、キャラクターは主にT君(メインシナリオ担当)にお任せして、自分は主に世界観の設定を考えました。

今までのファルコム作品でも取り扱ったことがなく、英伝に相性が良さそうなものってないかなと考えていくうちに産業革命というキーワードに出会いました。色々な社会的矛盾を抱えてはいるけど、非常にエネルギッシュだった時代……英伝に向いてそうな気がしませんか?(笑)
あと単純に歯車とか飛行船とかを扱うのは、演出としても面白そうだなって考えたのもあります。導力革命とかオーブメントの設定はこの辺りに由来しています。

主人公が女の子に決まった理由?T君(メインシナリオ担当)に聞いて下さい。多分いくらでも話してくれますよ(笑)

あと新しい挑戦と言えば、空の軌跡からグラフィックに3Dを使うようになったことでしょうか。
ファルコムは2Dが得意だった分、3Dの導入は遅れていました。
一時は「Zwei!!」と同じ形式で作るという案もあったんですが、せっかくシリーズ一新するわけですし、画面効果の幅が広げられるからということもあって、マップは3Dで行くことになりました。

折りしも隣のブースではイースY「ナピシュテムの匣」の制作が始まっていて、このあたりについてはイース・英伝チーム共同で試行錯誤したのを覚えています。
【空の軌跡の歩み】2003年春に発行された「ファルコムカタログ2003」。当時開発中だった『イースVIナピシュテムの函』 『英雄伝説空の軌跡』 『ザナドゥ・ネクスト』『ぐるみん』など、ここ数年に発売されたタイトルの開発中の映像が収録されています。『イースVI』と『空の軌跡』は互いのノウハウをやり取りしながら開発が進み、それは『イース-フェルガナの誓い-』や『空の軌跡SC』へと受け継がれています。


3Dになってもファルコムらしさを保ちたいという気持ちが強くて、街やフィールドを幾つか試作したりと基礎研究にはそれなりの時間を費やしました。家一軒を作るのも各パーツをどういう比率でデフォルメしたら英伝らしい雰囲気になるのか、プログラマやシナリオスタッフもまじって議論したり、とにかく苦労した記憶があります。

3Dについてはまだまだこれからも課題だと思っています。


FCの演劇イベントでの立会いとか、SCのユリアVSカシウスの戦闘シーンの細かさはまさに職人芸!
演出については、戦闘・イベントともに全力で思いつく限りのことを時間が許す範囲でやりました。
英伝伝統のキャラ劇もあいまって、かなり独特なものになったんじゃないかな。
おそらくこのタイプのグラフィックを使ったRPGでここまで凝っているものはそう多くないと自負しています(笑)

あとはシナリオのテキスト量!これは間違いなくファルコム史上No.1です。
どれくらいあるんだろ……(開発用サーバーをチェックするK)。
えー、SCのメインシナリオだけで2.3MB、クエストシナリオが1MB弱、街用の会話メッセージが2MB強ほど……合計5MB強あるんです。

って、これじゃ分かりにくいですよね。参考までにFCは……合計3.3MBです。
前作から1.5倍は増量している計算になりますね。

ファルコムの他タイトルと比べても、これは相当な数字なんです。
多ければいいってもんじゃありませんけど、自慢の一つですよ(笑)


■『空の軌跡』で特にこだわったところはどこですか?

自分の作業に関して言えば、先に話した世界観かな。特にリベール王国については思い入れがあります。最初の頃はひたすらリベール王国の地図を描いた覚えがあります。

あの国の元々のモデルは東南アジアのタイなんですよ。
イギリスとフランスの植民地政策にさらされつつも独立を保った緩衝国としての経緯とか、半島が大きく突き出ている地形とか。
そこにスイスっぽさをイメージして名勝を配置したり、真ん中に湖を入れたり、どの地方からでも湖と山が見えるようにしました。そうして出来上がったのがリベール王国です。

今回は世界を巡るガガーブトリロジーとは違って、一国の中で完結する話だったので
一つ一つの地方や街をなるべくディティール細かく描ければと心がけて、五つの地方の特色を決めました。

ゲーム全体でこだわったところと言えば全てですね。
グラフィック、シナリオ、イベント、戦闘、各種ミニゲーム、担当したスタッフそれぞれがこだわりをもって最後までやり切りました。

是非最後までプレイして確認してみて下さい。


■『空の軌跡FC』『空の軌跡SC』開発中のエピソードで何か面白かったことはありますか?

面白かったこと……
うーん、やっぱり「新人君!」かな(笑)


FCが終わってから追加されたアネラスの顔グラフィックのためのラフスケッチ。
空の軌跡では各地方に2〜3人ほど遊撃士のキャラクターを配置することを決めていました。
中にはアガットやシェラザードのようにパーティーに入る遊撃士もいれば、大した役は与えられず一住人扱いの遊撃士もいますよね。後者はユーザの方たちに名前すら覚えてもらえないかもしれません。

ちなみにアネラスは後者の予定だったんです(笑)。

名前は武器の資料をパラパラとめくっていたら、「アネラス」という武器が載っていたのでそこから命名しました。PCエンジン用のRPG「風の伝説ザナドゥ」の主人公に「アリオス」というキャラがいるんですが、確かの企画初期の名前が「アネモス」だったんですよね。

ちょっと気になったんですが、英伝は数百人にも上るNPCの名前を考えないといけないのであまり悩んでいる時間がなかったんですよ。

当然設定に費やす時間も限られているので、T君(メインシナリオ担当)に「性格は?」と聞かれ、「ひたむきな体育会系の少女かなあ。剣道部?」と反射的に答えて、それで全てが決まってしまいました(苦笑)。

アネラスのことはそれっきり僕自身も忘れていたんですよ。

FCの第四章制作を始めた時に、T君から武術大会に登場する遊撃士キャラを決めたい、僕の手持ちのキャラから女性を1人出して欲しいと言われました。自分が設定したキャラクターを一通り見回してみて、その時使えるのはアネラス1人でした。

あ、こんなキャラもいたなあと思いつつ、アネラスの設定と口調のサンプルをT君に渡しました。こうしてFC第一章限定キャラだったアネラスはメインシナリオのイベントにデビューすることになったんです。


しばらくして「空の軌跡FC」制作もラストスパートに入り、デバッグが始まりました。
当然T君(メインシナリオ担当)によって追加されたアネラスのセリフもチェックを行いました。


「たしか、シェラ先輩と一緒にいた新人君たちよね?」
「またね、新人君たち!」
「あっ、新人君たちだ!」
「ばいばーい、新人君たち!」
「新人君たち、やっほー!」
「あら、新人君たちにジンさんも一緒じゃない。」
「もう、お城から戻ってきたんだ?」
「………………え。」
「……………………………」
「……えーと。」
「ごめん、ちょっと混乱して事態が把握できてないみたい。」
「よく判らないけどみんなギルドに集まるのね?」
「わかった……!とりあえず行ってみるわ。」
「確かに、あの特務兵って連中、うさん臭そうではあったけど……」
「リシャール大佐が格好良かったからついつい信じちゃってたみたい……」
「あたしも喜んで!」
「あ、なるほど……」
「その応援部隊を、要撃班が返り討ちにするってことね?」
「ただし、あんまり大声を出さないようにね?」
「あ、そうか……軍人は遊撃士になれないから……」
「そういえば、先輩たちはこの事を知ってたみたいですね?」



ゲーム中のセリフは変更したかもしれませんが、
これがメインイベントに登場するアネラスの初稿セリフです(会話用メッセージは他にもあります)。決して多くありませんが、役どころからいってもまあこんなところかな、と納得していました。

ところがデバッグが始まってみると、このアネラスが気になる、キャラが立っているという意見が続々とスタッフから出てきました。

確かに「新人君!」はキテるかなぁとは思いました。

ただ英伝は毎回スタッフの間でお気に入りNPCが出てきて話題になるので、今回も同じことだろうと思っていたんです。


そうしてFCが発売されてしばらく経った頃、SCの打ち合わせ時にキャラクターデザインを担当するスタッフから妙な話を聞きました。
それが「ユーザーにアネラスのファンが増えていて、それを取り上げるファンサイトがある」という情報だったんです(笑)。
これ以前にアネラスを正式なパーティーキャラにしようという話はスタッフから冗談半分に出ていました。が、こういう展開は予測していませんでした。

この後の経緯は皆さんも想像つくと思うので割愛します(笑)

とにかくスタッフの要望はユーザーの皆さんの声に後押しされる形で
急速に実現へと向けて動き始めたんです。普通逆ですよねぇ?(苦笑)
今や芸能界デビューを果たした娘を見守る不肖の父親、といった気分です。

SCは彼女の見せ場もあるので応援してあげて下さいね。

SCの制作で唯一心残りなのはエステルが正遊撃士となったため、アネラスに「新人君」と呼ばせることができなくなったことでしょうか(笑)

■『空の軌跡FC』のラストはプレイヤーに衝撃を与えたと思うのですが、ストーリーが二つに分かれてしまう点について不安などはありましたか?

不安はもちろんありました。
FCでつまらないって言われたらどうしようっていう不安が(苦笑)。
スタッフや上司とこれについては相当話し合いました。
ボリュームを削ってしまうと「空の軌跡」の物語は語りきれない。
でも、そうなるとやはり二つに分けざるを得ない。

決めきれないまま制作は進み、ある時さすがに決めないとまずいということになったんです。そこでスタッフと2日ほど悩んで、やるからには徹底的に盛り上げてFCを終えよう、そして全力でSCを作るしかないと決心しました。

FCのラストがあのシーンになることは最初から決まっていました。
やっぱり前半最大の見せ場ですから。
結果は良かった、と考えることにしています(笑)。

これからもこういった試みは続けていきたいですね。



エビのシマシマやブロッコリーの色合いまでも美しい…。

■『空の軌跡』では料理システムが導入されました。特にSCからは見るからに美味しそうグラフィックがつきましたが、開発スタッフの中にグルメな方がいるのですか?

グルメなスタッフは結構いますよ。
T君にしてもそうですし、料理システムを担当しているスタッフなんて昼休みにかなり良いものを食べていることで有名です。


僕も彼に付き合ったことあるんですけど……ついていけませんよ、財布の中身が!
よくお金あるよなぁ(笑)。立川で美味しいものを食べようと思ったら、検索するより彼らに聞いたほうが手っ取り早いです。


■好きなキャラクターは?その理由なども聞かせてください。

自分の仕事と関わりが強かったせいか好きなキャラクターはアガットです。
理由はSCのネタバレになってしまうので詳しく言えないのですが……強いて言うならば彼が一番人間くさいキャラクターだからでしょうか。
とても共感できるんですよね。彼の葛藤が描かれるSCのあるシーンは是非見て下さい。



前回のインタビューで登場したT氏(メインシナリオ担当)もアガットがお気に入り。何気にスタッフの間では人気がある?

■『空の軌跡FC』のゲーム中のエピソードやシーンで気に入っているシーンはありますか?

うーん、ラスト付近の女王生誕祭でにぎわっている中で交わされるヨシュアとアルバ教授のやり取り、かな。
周囲の雰囲気と対照的に暗転していくヨシュアの心情が、英伝ならではの表現で上手く出来たかなと思っています。


■『空の軌跡SC』の見所などをアピールしてください。

さっきのアガットの話でもちょっと触れましたが、SCではFCで登場したキャラクターたちをさらに掘り下げて描いています。そこは是非注目して欲しいですね。

後は戦闘がかなりイイ感じなんですよ。特にバランスはFC以上に上手く取れたと思います。僕自身デバッグ時に感じたことなんですが、戦闘だけで遊んでもかなり楽しめました。戦闘班が頑張ってくれたおかげだと思います。


■ユーザーの方々に何かメッセージはありますか?

ユーザーの皆さんをお待たせした分、とにかくボリューム・内容とともにやり応えのあるものに仕上げたつもりです。僕たちの全力を見て下さい。




お忙しい中インタビューに答えてくださったKさん!どうもありがとうございました!
当初このスタッフインタビューは前後編の予定だったのですが、グラフィックのスタッフとサウンドチームのメンバーへのインタビューも実現することになりました!

次回はグラフィックデザイナーさんに登場していただく予定です!お楽しみに!


 『空の軌跡』開発者インタビュー(プランナーK氏編)

2006/3/9

『空の軌跡』開発者インタビュー:前編

「新時代の英雄伝説」を謳い、物語るRPGの新しい形を切り拓いた本格ストーリーRPG、『空の軌跡』。ついに、その完結編である『空の軌跡SC』が発売されました。

今回スタッフコラム番外編として、『空の軌跡』開発スタッフに直撃インタビュー!


ファルコムにも商品が到着して山積み状態。今回、商品ごとにダンボールの色が違います。女性スタッフたちの間では、限定特典版の方の水色の箱が「ティファニー」の箱みたいでいい感じなのだそうです。

今日のコラムに登場してくださったのは、シナリオスタッフのT氏
『空の軌跡』の印象的なエピソードの数々は、まずT氏から生み出されていったといっても過言ではありません。今回そのT氏に『空の軌跡』への想いや開発にまつわるエピソードなどを語ってもらいました!



英伝チームのスペースです。
■とりあえず自己紹介をしてください。
どうも初めまして、シナリオスタッフのTといいます。「空の軌跡」では背景設定とメインシナリオ、各種演出などを担当しました。インタビューのような機会は初めてなので少々緊張していますが、どうかよろしくお願いします。
■『空の軌跡』を作るに当たって、以前の「英伝シリーズ」を意識しましたか?

ええ、それはもうたっぷりと。(笑)
「章構成」(イセルハーサ二部作)や「町の人全員に名前がある」(ガガーブ三部作)など、これまでの英伝シリーズのスタイルを意識的に受け継いでいるのは確かです。

またWIN版の「朱紅い雫」を製作するにあたって、密度の高いシナリオに再構築するために、泣く泣くカットしてしまった「オープンシナリオ」(軌跡の「ブレイサークエスト」に相当)をより進化した形で組み入れられないかという想いがチーム内にありました。

その結果、「今までのシリーズの総決算」「さらにそれを超えるもの」という、今から考えるとかなり無茶なコンセプトで開発がスタートしたという経緯があります。


■以前の「英伝シリーズ」にはない部分、新しく挑戦した部分などを教えてください。

〜英伝初の女性主人公〜
これまでの英伝のシナリオは、一貫して主人公の少年の視点から描かれていましたが、今回は「対照的な少年少女それぞれの視点」から描いてみようという狙いがあり、それが結果として「明るい女性主人公と陰のある少年」というモチーフに結実しました。
当然、「明るい男性主人公と陰のある少女」という可能性もあり、実際の企画段階ではエステルとヨシュアの性別が反転(!)していた時期もあったのですが、最終的には同じシナリオのK君(背景設定・一般メッセージ担当)と相談して、
「今までにない主人公にしよう」という理由から女の子の主人公に決まりました。
学園祭での性別反転劇のネタは、実はこのあたりの紆余曲折に由来していたりします。(笑)

エステルとヨシュアの性別が反転していたら…。
オリビエのちょっかいが半分本気になって、
エステルと ライバルになっていたかも!?


〜3Dになった英伝〜
3D化に関しては、技術的・コスト的な要請もあったのですが、何よりも自由で幅のあるカメラワークや豊富なAPL(キャラアニメ)を実現するために導入されました。
さらに表情変化するフェイス付きのポップアップ(キャラから出る吹き出し)という、実はかなり独特な仕様と合わせることで、イベントシーンにおける臨場感と表現力を飛躍的に高められたのではないかと思います。

初回版の特典としてついた主題歌『星の在り処』シングルCD。スケルトン仕様なレーベルがいい感じでした。

〜初の主題歌!〜
主題歌に関しては……ええと、実は最初は入れる予定はなかった(汗)のですが、FCのシナリオのラストを書き上げた時、「エンディングは相当盛り上げないと!」というJDK(サウンドチーム)からの強い要望があって、思い切って歌を入れることになりました。

そこからどの曲をベースにするか、歌詞をどうするかなど、様々な紆余曲折はありましたが、結果的にかなり満足のいく内容に仕上がり、エンディングを感動的に盛り上げてくれたと思います。

■『空の軌跡』で特にこだわったところはどこですか?

シナリオに関しては「芯を保ちながら殻を破る」というスタンスでしょうか。

「王道的なストーリー」「一人一人の人物を丁寧に描く」という、これまで英伝が培ってきた暖かみのある作風・世界観を大切にしながらも、現実社会でもありそうな事物・事件を取り入れたり、破天荒なキャラを登場させたり、不意討ちのような展開にしてみたり、今風の言葉遣いやアダルトな含みを入れてみたりと、チャンスがあれば思い切って色々な表現・演出にチャレンジしてみました。

「少々やり過ぎ」と思われた方もいたとは思いますが、どうかご容赦を……。


■『空の軌跡FC』『空の軌跡SC』開発中のエピソードで何か面白かったことはありますか?

面白かったこととは少し違うかもしれませんが……。
「空の軌跡」の背景設定を構築する際、「機械式時計」の世界を参考にしたのですが、色々と調べていくうちに思わず引き込まれてしまい、FCのマスターアップ直後くらいに都心にある高級時計屋さんに見に行ったことがあったんです。

その時は買うつもりはなかったのですが、「BLANCPAIN」というメーカーの「トリプルカレンダームーンフェイズ(黒ダイヤル)」という時計に一目惚れしてしまい、何を血迷ったのか「自分へのご褒美」という名目でその場で購入してしまいました。

ちなみにその時計、それまでの人生で一番高価な買物で、周りのスタッフからは「その金で焼肉に100回以上行けるじゃん」と呆れられてしまったり……。
当然しばらくの間、爪に火をともす貧困生活を強いられたのは言うまでもありません。(汗)

これがウワサの焼肉100回分のブツです。
この時計は今でもお気に入りで、ほぼ毎日のようにファルコムに巻いて行っています。ちなみに空の軌跡では、時計にまつわる名前があちこちに散りばめられているいるので、興味があったら色々と調べてみるのも面白いかもしれません。


■『空の軌跡FC』のラストはプレイヤーに衝撃を与えたと思うのですが、ストーリーが二つに分かれてしまう点について不安などはありましたか?

ボリューム的な問題から前後編に分けるアイデアは企画当初からありましたが、やはりある程度FCが形になるまでは不安も少なくありませんでした。
ただFCのラストシーン(エステルとヨシュアの別れ)の入力演出が完了し、エンディングとSCの予告ムービーが入った時点で、ようやく不安が無くなりました。

何というか「ここまでやったからには前に進むしかない」というか、「とにかくSCを凄いものにするしかない」と肚をくくったというか……。
そのあたりのヤケッパチな意気込みをSCで感じて頂けたら幸いです。(笑)



3Dで作成された料理のグラフィック。ものすごくリアルでおいしそうです…。

■『空の軌跡』では料理システムが導入されました。特にSCからは見るからに美味しそうグラフィックがつきましたが、開発スタッフの中にグルメな方がいるのですか?

お察しの通り、料理システムの担当者はかなりのグルメらしいです。

何でも立川近辺のラーメン屋さんは全て制覇しており、たまに休暇で温泉に行ったら部屋付きの露天風呂があるような高級旅館で懐石料理に舌鼓を打つのだとか……。
……とか他人事のように言いながら、自分もそういうのに(たまに)付き合っています。FCにあった温泉旅館のネタは、そのあたりの経験から来ているのはヒミツです。(笑)

■好きなキャラクターは?その理由なども聞かせてください。

どのキャラにも強い思い入れがあるので、正直決めきれないのですが、手がかかったという意味では、アガットとティータの2人かもしれません。

この2人の関係をどう描くか、最初全然イメージが湧かずに苦しんでいたのですが、ふとしたきっかけ(紅蓮の塔のビンタ)で「これだ!」という手応えを感じて、それ以降は何の苦労もせずにスラスラ描けたので、余計に印象深いのだと思います。


フォトストーリーブックイラストより。市長邸での一件はヨシュアの意外な一面を垣間見ることの出来るイベントでした。

■『空の軌跡FC』のゲーム中のエピソードやシーンで気に入っているシーンはありますか?

これまたチョイスに困りますが、あえてピックアップするなら、2章ラストの、ルーアン市長邸での出来事〜アルセイユ初登場のイベントでしょうか。

陰謀劇、不意討ちの戦闘、キャラの意外な一面、黒のオーブメント、ボートチェイス、飛行船登場と、「これぞ空の軌跡の醍醐味!」とも言うべき面白さの凝縮されたシーンになっていると思います。

■『空の軌跡SC』の見所などをアピールしてください。

ボリュームもさる事ながら、とにかく「高密度の作品」に仕上がったと思います。
強化されたイベント演出、大量のクエスト、パーティ選択、新型オーブメント&Sクラフト、チェインクラフト、爽快感のあるザコ戦、歯応えのあるボス戦、こだわりのミニゲーム、歌に戦闘ボイスにイベントムービー、更にはフォトストーリーブックやドラマCDまで……。それらの要素が、お互いを邪魔することなく調和するような、そんなゲームを目指しました。

■ユーザーの方々に何かメッセージはありますか?

長らくお待たせして申し訳ありませんでした。
それと、今まで待っていただいて本当にありがとうございます。

ゲームの発売日というのは、たいてい期待と不安でドキドキするものですが、今回はなぜか奇妙なほど落ち着いており、ただ一つの想いだけが胸の内にあります。

──どうか皆さんに、心ゆくまでSCを楽しんでいただけますよう。


お忙しい中インタビューに答えてくださったTさん!どうもありがとうございました!
次回のインタビューでは、Tさんの話の中にも登場したKさんが登場予定です。SCからメインキャラの仲間入りを果たした「アネラス」の誕生秘話など、気になるお話がいっぱいです!お楽しみに!



 『空の軌跡』開発者インタビュー(シナリオスタッフT氏編)